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低音ニュース in DVD



The King of Bass: Information
     
 
「低音路線」が誇る究極のコンピレーション第2弾!! クラシック、ジャズにまたがり、さらにパワーアップ!!


「低音王 II」
KICC-322 ¥2,381(Without tax)
2000.12.6発売

曲目
1.Go Down Moses(traditional) Richard Davis(b), John Hicks(p) [行けモーゼ/リチャード・デイビス(b)、ジョン・ヒックス(p)]
2.A Flower is a Lovesome Thing(B.Strayhorn) Richard Davis(b),John Hicks(p) ア・フラワー・イズ・ア・ラヴサム・シング/リチャード・デイビス(b)、ジョン・ヒックス(p)
3.Largo(H.Eccles) Serge Koussevitzky(b),Bernard Zighera(p) ラルゴ/セルゲイ・クーセヴィツキー(b)、バーナード・ジゲラ(p)
4.Chanson Triste Op.2(S.Koussevitzky) Serge Koussevitzky(b),Pierre Luboschutz(p) 悲しみの歌/セルゲイ・クーセヴィツキー(b)、ピエール・ルボシャッツ(p)
5.Father Moqueur(J.P.Viret) LユOrchestre de Contrebasses 嘘つきの神様/オルケストラ・ド・コントラバス
6.Acoustic Trash(C.Gentet) LユOrchestre de Contrebasses アコースティック・トラッシュ/オルケストラ・ド・コントラバス
7.Crazy Course(Francois Rabbath) Francois Rabbath(b),Armand Molinetti(ds) クレイジー・コース/フランソワ・ラバト(b)、アルマンド・モリネッティ (ds)
8.Impalas (Francois Rabbath) Francois Rabbath(b),Armand Molinetti(ds) インパラス/フランソワ・ラバト(b)、アルマンド・モリネッティ (ds)
9.Lascia chユio pianga(G.F.Handel) Stefano Sciascia(b),David G. Leonardi(p) 私を泣かせて(歌劇「リナルド」より)/ステファノ・シャシャ(b)、デヴィッド・G・レオナルディ(p)
10.Se tu mユami(G.B.Pergolesi) Stefano Sciascia(b), David G. Leonardi(p) 私を愛しているなら/ステファノ・シャシャ(b)、デヴィッド・G・レオナルディ(p)
11.Naissance(K.Fujiwara) Kiyoto Fujiwara(b) 誕生/藤原清登(b)
12.Quizas,quizas,quizas(Farres) Kiyoto Fujiwara(b) キサス・キサス・キサス/藤原清登(b)
13.Folk Forms No.1(C.Mingus) Kiyoto Fujiwara(b) フォーク・フォームズNo.1/藤原清登(b)
14.Lydia(G.Faure) Takashi Konno(b),Masahiro Sato(p) リディア/今野 京(b)、佐藤正浩(p)
15.Les berceaux(G.Faure) Takashi Konno(b),Masahiro Sato(p) ゆりかご/今野 京(b)、佐藤正浩(p)
16.Someday My Prince Will Come(L. Morey, F. Churchill) Takeshi Yamaguchi(g), Ron Carter(b) いつか王子さまが/山口 武(g)、ロン・カーター(b)
17.Autumn Leaves(Kosma,Mercer) Red Mitchell(b) 枯葉/レッド・ミッチェル(b)<ベース・デュオ・オーヴァー・ダビング>
18.Down By The Riverside(traditional) Reginald Veal(b),Cyrus Chestnut(p),Eric Vaughn(ds) ダウン・バイ・ザ・リヴァーサイド/レジナルド・ヴィール(b)、サイラス・チェスナット(p)、エリック・ヴォーン(ds)

1999年の4月に発売した、ジャンルの壁を越えたコントラバス(ウッド・ベース)のコンピレーション盤「低音王」(KICC-282)が思いのほか好評で、ここに続編の「低音王II」をこうして編纂できるなんて本当にうれしい事だ。
 ここ数ヶ月の動きを見ても「ベースの哲人」フランソワ・ラバトの初来日(2000年9月)や、オルケストラ・ド・コントラバス(2001年1月)や「ベルリン・フィルの6人のバシスト達」(2000年11月)のコンサート。
 そして音楽雑誌のウッド・ベース特集が目に付くようになったり、楽器メーカーのヤマハがサイレント・ベースの市場に本格参入したりノ.などなどベースをめぐる話題はなにかと賑やかだ。
 このアルバムが、そういった状況に、さらに楽しい話題を付け加える事が出来たら幸いだ。

1.行けモーゼ
2.ア・フラワー・イズ・ア・ラブサム・シング/リチャード・デイビス
 いきなり飛び出してくる鉛のように重いピチカートに驚いた人もいるかと思う。 リチャード・デイビス(1930年生まれ)は、このアルバムのオープニングを飾るに相応しいジャズ・ベースの巨匠。  アンプやピック・アップを一切通さない彼のピチカートの音を是非大きな音で堪能してもらいたい。まるで巨大なエネルギーの塊がぶつかって来るようではないか。
 ストラヴィンスキーを感激させエリック・ドルフィーを燃え上がらせた名手の堂々たる風格が伝わってくる。
 続く2ではアルコ(弓弾き)を披露...。彼のジャーマン・ボウからは様々な人生経験を経なければ生み出せない深い味わいのあるサウンドが生み出される。
 ところで、昨年来日したとき、ある雑誌のインタビューで、アルコについて彼は次のようにコメントしていたので以下に紹介したい。 「アルコをすると、クラシックをしっかり勉強したのですねとよくいわれて、内心あまり愉快でないことがある。ジャズよりクラシックの方が偉いという意識が感じられるのだ。ジャズにもアルコ奏法による表現の伝統はあるのだよ。」 目からウロコの落ちる一言であった。
3.ラルゴ
4.悲しみの歌/セルゲイ・クーセヴィツキー
 歴史の彼方の巨匠の登場だ。
 1874年生まれ。モスクワ音楽院を卒業しコントラバスの希代の名手として活躍するかたわら母校の教授も勤めた。1903年にベルリンに登場し、ボッテシーニ以来の名手と評された、さらには1907年以降指揮者としても活躍。後に活動の場をアメリカに移し、1941年にアメリカ国籍を得た。また、1924年より1949年までボストン交響楽団の常任指揮者を勤めた。1951年没。
 ここに収録したのは1920年代後半の録音。したがって音質的には良くないが、それをおぎなって余りある名演だと思う。ゆったりとしたテンポによる気宇壮大な3。そして今日のコントラバス奏者の主要なレパートリーとなっている4の自作自演。
 SP盤のノイズの向こう側から、長い年月を超えて、巨匠の奏でるガット弦(動物の腸から作った弦)の暖かく切ない響きが伝わってくる。
5.嘘つきの神様
6.アコースティック・トラッシュ/オルケストラ・ド・コントラバス

 オルケストラ・ド・コントラバスは6名全員ベーシストによるフランスのグループ。1981年クリスチャン・ジャンテによって創立された。
 絶妙なテンポ感とハーモニー、そしてユーモアのセンスがブレンドされた彼等の音楽。そしてそのステージは、家族連れとプロのベーシストが聴きに来ると言うほど、音楽的に洗練され、かつ楽しく心踊るものだ。  ステージでは3台のベースを積み重ねて演奏した5を聴くと目の前に広大な草原が広がっているような気分になる。また、6では、ベースの二本の弦を強く引っ張り、クロスさせて弾くクロス・ストリングスというテクニックにより、エレキ・ギターのデストーション・サウンドのような効果 をうまく使っている。もちろんこの演奏は完全アコースティックで、電気的な処理は一切していない。
 とにかくカッコよく、そして楽しい!
7.レイジー・コース
8.インパラス/フランソワ・ラバト

 フランソワ・ラバトもまた現代のベースの巨匠である。
 彼の弟子の今野 京(後ほど彼の演奏も出てくる)によると、若いころの彼は、フリーランスでここで聴かれるようなジャズを演奏していたかと思うと、40歳を過ぎて突然パリ・オペラ座のスーパー・ソリストに「就職する事に決めた」そうだ。現在は「退職」したそうだが先日、70歳にして初来日し、その圧倒的な演奏でファンを魅了した。
 彼の魅力は、磨きぬかれたテクニックと、精神がとても自由であるところにあると思う。そしてこの精神の自由さは前に登場したオルケストラ・ド・コントラバスにも合い通 じるものがあると思うが、いかがだろうか。(いや、実は、偉大なベーシストはおしなべて自由な精神をもっている、というのがこのコンピレーションの隠しテーマでもあったのだが....)
 彼にはここで聴けるようなアグレッシヴなジャズ(ちなみにこれは1960年代の演奏だ)以外にも盟友フランク・プロトの作曲による「カルメンファンタジー」といったポピュラーな演奏のアルバムもある。また、現在はバッハの無伴奏チェロ組曲に取り組んでいるというので、今後キングレコードからどんどん紹介していきたい。
 それにしてもこの演奏のテンションの凄さはただ事ではない。
9.私を泣かせて
10.私を愛しているなら/ステファノ・シャシャ
 ステファノ・シャシャは1960年、イタリアのツーリンで生まれた。地元のオーケストラの主席奏者として活躍し、1994年以降はソロ演奏家としてレコーデングも盛んに行っている。
 他の楽器に比べて、ベースのために書かれた曲はあまりにも少ない。全てのベーシストが頭を悩ますのが「レパートリー」という問題だが、ここで彼はバロック・アリアのトランスクライブに挑み成功している。
 決して押し付けがましくない「歌」の表現が、どこか寂しげなベースの音色とあいまって聴き手の心の琴線に触れる名演を作り出した。
11.誕生
12.キサス・キサス・キサス
13.フォーク・フォームズ No.1/藤原清登
 日本を代表するベーシスト(2000年度スイングジャーナル人気投票邦人ベース部門第一位 )藤原清登(1953年生まれ)の新作「ガルガンチュア」から3曲収録した。
 ナポリの名器ガリアーノから藤原が紡ぎだす千変万化の音色を生かすために選ばれた録音場所がフランスのシノンの修道院Abbaye de Seuilly。(実はここはオルケストラ・ド・コントラバスとも関係が深い。)
 11は藤原のオリジナル。シノン三部作の中の1曲。明るい響きの下の方で開放弦が共鳴して唸る。まさに「響き」のみで作られたような曲。ラテンの名曲12、チャールズ・ミンガスの13の2曲におけるピチカートの表現の違いにも注目。この3曲は、おなじソロ・ベースでありながらまったく違ったタイプの演奏になっている。
14.リディア
15.ゆりかご/今野 京
 日本のトップ・オーケストラ、NHK交響楽団所属の今野 京は藤原同様、日本における数少ないフレンチ・ボウの名手。この2つのトラックはこのアルバムのための録りおろしだ。
 ステファノ・シャシャのところでも書いたがベーシストにとってレパートリーの選択はもっとも頭の痛い問題のひとつ。しかし今回彼はフォーレの歌曲でセンス良く、かつ、柔軟に対応している。
 14はリディア旋法で書かれた曲。15はベースのひびきが舟歌の雰囲気とよくマッチしている。
16.いつか王子様が/山口 武&ロン・カーター
 現在のジャズ・ベースを語るときロン・カーター(1937年生まれ)の名前ははずせない。  共演相手を受け止めるふかふかのカーペットのようなベース・ライン。絶妙のグルーヴ感。まさに第一級のベーシストだ。このトラックはギターの山口 武のリーダー・アルバムから収録したが、ここからも彼の特徴的なベース・ライン、ソロ・フレーズを充分楽しむ事が出来ると思う。
17.枯葉/レッド・ミッチェル
 レッド・ミッチェル(1927〜1992)もまた、独自のジャズ・ベースの道を開いた巨匠だ。アメリカ西海岸で活躍した後1968年からストックホルムに居住。このころからベースをチェロと同じ5度感覚に調弦するという独自のスタイルを築いた。(通 常のベースは4度チューニング)。このことにより生み出されるコードの響きは独特の美しさがあるといわれている。
 このトラックではベースをオーヴァーダビング(重ね録り)することにより繰り広げられたベーシストの、自己との対話を楽しむことが出来る。
18.ダウン・バイ・ザ・リヴァーサイド/レジナルド・ヴィール
 レジナルド・ヴィール(1963年生まれ)は現在ニューヨークでもっとも売れっ子のベーシストのひとり。1987年、ウイントン・マルサリスのグループに参加したころからグングン頭角を現し始めた。強烈なビート感とスピリチャルなベースの響きは他の若手ベーシストの追随を許さない。
 さて、このトラックを楽しむのに理屈はいらないだろう。まるでバスケット・ボールをドリブルするような気持ちの良い太いベース・ライン。そしてアドリブ・ソロではスラム・スチュアート(1914〜1987)張りに、自分のアルコ・ソロ(ちなみにフレンチ・ボウ)とユニゾンで歌うアイデアも楽しんでいただけたらうれしい。